カテゴリー : 環境
環境ホルモンは、非常に微量で作用し、体内に蓄積するものがあったり(生物濃縮)、 母親から子供に移行したり次世代に亙って影響すること、他の有害物質のように急性毒性が ある訳ではなく子供が大人になってから発現するなど、影響が分かりにくく、 因果関係の解明が難しくなっています。
環境ホルモンは、多種類あり、影響を及ぼす機構・作用、体内蓄積度合い、分解されやすさ 等は様々です。雄と雌で感受性に違いがあるものもあります。また、細胞レベルで観測した現象 と実際の人間への影響の関係、及び野生動物におこっている現象が同様に人間にもおこるか どうかについても不明確な部分があります。
野生生物については、はっきりと影響が現われています。 米国のフロリダ州のアポプカ湖において化学物質流出事故の影響で雄のワニの大半に生殖器が 正常の半分以下といった脱雄性化が観察されているほか、英国において雄のニジマスに雌の魚の 肝臓で合成されるタンパク質であるビデロジェニンが検出されるなどの現象がみられているのは 周知の通りです。。 日本においても、内分泌攪乱を生じた野生生物の例として、巻き貝(イボニシ)の雄性化 (「インポセックス」、メスにオスの生殖器ができるという症状)などが報告されています。 これは船底塗料や漁網の防汚剤として使われていた有機スズ化合物の影響とみられています。
最近、人の精液量・精子数の減少、精子の運動率の低下、がん、不妊症の増加等について、 これらの化学物質の影響が疑われています。 、野生生物において報告されている甲状腺の機能異常、妊娠力の低下、生殖行動異常、 生殖器の奇形、脱雄性化、雌性化、免疫機能の低下などいくつかの生殖・発生の異常は ヒトにおいても同様に生じる可能性があると考えられています。
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